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改正建築物省エネ法の第2段階が来年4月1日に施行 オンライン講座で改正内容を周知
国土交通省は9月1日、昨年5月17日に公布した改正建築物省エネ法に関し、施行期日を定める政令および施行令の一部を改正する政令が閣議決定されたことを受け、段階施行となる同改正法について、第2段階目の施行を2021年4月1日とする旨を発表しました。併せて、改正法の内容を説明する特設サイトを開設し、同日よりオンライン講座をスタートしました。
第1段階でトップランナー制度対象拡大
地球温暖化対策とエネルギー需給構造の安定化の両面から、省エネルギー対策が不可欠な状況の中、政府が策定した地球温暖化対策計画(2016年5月閣議決定)において、2030年度のエネルギー消費量を住宅・建築物分野については2013年度比で約2割削減することが求められています。
これらを背景に、改正建築物省エネ法が昨年5月17日に公布されました。同法は、公布から6カ月以内と2年以内の2段階施行となっており、第1段階目として昨年11月16日に、届け出義務制度の審査手続きの合理化や住宅トップランナー制度の対象拡大などが施行されました。そして、今回の発表の通り、第2段階目が来年4月1日に施行されます。
説明義務制度がスタート
第2段階目の施行では、以下の措置等が講じられます(図1)。まず、適合義務制度については、現在の大規模(延べ床面積2,000㎡以上)の建築物から中規模(同300㎡以上)の建築物まで対象が拡大されます。同制度では、建築主は登録省エネ判定機関等の省エネ適合性判定を受け、交付される適合判定通知書を建築確認時に提出することが求められます。適合が確認されない場合は着工することができません。完了検査時にも、省エネ基準への適合性の検査が行われ、審査段階と工事段階との2段階で省エネ基準への適合が確認されることになっています。
また、現行制度では適合義務や届け出義務の対象外であり、省エネ性能向上の努力義務に留まっている小規模(同300㎡未満)な住宅・建築物についても、規制措置が改められます。具体的には、建築主の努力義務として求める水準が、「省エネ性能の向上」から「省エネ基準への適合」に強化され、更に、説明義務制度が創設されます。同制度では、設計の際に、建築士から建築主に対して省エネ基準への適否と、適合しない場合には省エネ性能確保のための措置について書面を用いて説明することが求められるほか、当該書面を建築士事務所に15年間保存する必要があります。
オンライン講座を開設
国土交通省はこれまで、法改正等に際し、施行前に全国各地で説明会を開催し、改正内容等の周知を図ってきました。しかし、このたびの改正においては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から説明会の開催は行わず、それに代わって、改正法の内容を動画にて説明するウェブサイトを9月1日に開設し、同サイト上でオンライン講座をスタートしました。
オンライン講座は、住宅・非住宅の別とその規模に応じて12講座が用意されており、無料で受講できます(受講は任意。図2)。規模や用途によって対象となる講座が設定されており、例えば、小規模(延べ床面積300㎡未満)の住宅の場合、「改正建築物省エネ法の概要」「説明義務制度について」「省エネ性能に係る基準と計算方法」「モデル住宅法の評価方法について」の4講座のほか、木造か鉄筋コンクリート造の別に応じた「演習問題」、地域区分に応じた「住宅省エネルギー技術講習会」が該当します。
各講座の所要時間は異なりますが、講座はそれぞれ10分程度のチャプターに分けて構成されており、見たいところを選んで視聴できます。また、受講したチャプターには「視聴済み」と表示され、連続して視聴しなくても、後日続きから受講しやすくなっています。