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スマートパワー㈱ 脱炭素社会の構築に貢献 産業用の自家消費型太陽光発電設備を提案
環境意識の高まりや、電気代の上昇に伴う経済的なメリットを見据えて、産業用の太陽光発電設備を投資ではなく自家消費目的で設置するケースが増えています。ナイスグループにおいて太陽光発電設備の開発、販売を行うスマートパワー㈱では、工場や倉庫、事務所に向けた自家消費型の太陽光発電設備について、提案から施工までをワンストップで提供しています。
2030年にエネルギーミックスを実現
経済産業省が公表した2018年度のエネルギー需給実績(確報)によると、日本の発電電力量は前年度比0.8%減の1兆512億kWhとなりました。この構成は、火力が77.0%(前年度比3.9ポイント減)、再生可能エネルギー(以下、再エネ)が16.9%(同0.9ポイント増)、原子力が6.2%(同3.1ポイント増)となっています。また、生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で確保できる比率を示すエネルギー自給率については、前年度比2.3ポイント増の11.8%となりました。エネルギー自給率は、東日本大震災などを要因として低下し、2014年度の6.4%を底に上昇へと転じ、2018年度は7年ぶりに10%を超えました。しかし、OECD(経済協力開発機構)加盟国等と比較して依然として低い水準にあり、国際情勢の影響を受けやすい状況にあると言えます。
現在は、地球温暖化防止における温室効果ガスの排出量の削減に向け、世界全体が「脱炭素化」の流れの中にあります。こうした流れの中、政府はエネルギー自給率の向上およびパリ協定の目標達成に向けて、「安全性(Safety)」を前提とした上で、「エネルギーの安定供給(Energy Security)」を第一に考え、「経済効率性(Economic Efficiency)」の向上、つまり低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に「環境への適合(Environment)」を図るという「3E+S」を満たす政策を推進しています。具体的には、2018年に策定された「第5次エネルギー基本計画」において、2030年にエネルギーミックスを確実に実現するために、再エネについて、電源構成に占める比率を22~24%に引き上げ、主力電源化に向けて取り組むこと、更に、2050年に向けては経済的に自立し、脱炭素化した主力電源化を目指すという方向性を示しています。
電気は 「売る」 から 「使う」 時代に
電気料金については、東日本大震災以降、値上げの傾向にあります(図1)。2018年度の平均単価は、2010年度比で家庭向けが約23%、産業向けで約27%も上昇しています。これは、2014年度まで原油価格が上昇したことに加え、火力発電所を焚き増ししたことなどが主な要因ですが、再エネの導入が進んだことも影響しています。
再エネの設備容量は、2012年に導入された「固定価格買取制度(FIT)」により、一気に伸長しました(図2)。FITは、再エネで発電した電力を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用の一部を電気の利用者から賦課金として集め、再エネの導入を支援するスキームとなっています。このFITの開始により、屋根や遊休地などを活用できる上、導入コストが低く、発電予測が容易といった特長を併せ持つ、太陽光発電設備の導入が急速に進みました。
再エネの買い取り費用は2019年度で3.6兆円に達し、賦課金単価が2012年度の0.22円/kWhから2019年度には2.95円/kWhに上昇しており、電気代の押し上げ要因になっています(図3)。一方で、買い取り価格については導入コストの低減とともに毎年下降し続けています(図4)。2012年度に10kW以上の太陽光発電で40円/kWhだった買い取り価格は下がり続け、2018年には再エネ賦課金を合わせた電気代と買い取り単価が逆転しました。つまり、現在は発電した電気について、売電するよりも自家消費することで経済メリットが得られる状況にあると言えます。
産業用太陽光発電設備の導入が進む
こうした中、環境意識の高まりや、太陽光発電設備のより効率的な利用による経済メリットに加え、災害時におけるBCPなど防災対策等の観点から、本業の収益改善のために太陽光発電設備の導入を検討するケースが増加しています。
国も産業用の太陽光発電設備の設置について後押ししており、資本金1億円以下の法人・個人事業主といった中小企業者等による太陽光発電設備の導入について、「中小企業経営強化税制」において支援しています。これは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却または最大で取得価額の10%の税額控除が可能となる制度です。対象は、2021年3月末までに導入された、生産性が年平均で1%以上向上する生産性向上設備(A類型)、または投資収益率が年平均5%以上の投資計画に関する設備(B類型)が対象で、類型ごとに手続き等が異なります。
エネルギーソリューションをワンストップで
住宅用および産業用の太陽光発電システム等を供給するスマートパワー㈱は、ナイスグループの総合力を基盤に、太陽光発電システムの新工法の開発・供給など、エネルギーソリューションを幅広く提供しています。太陽光発電設備の導入に当たっては、概算プランの作成から、現地調査、設計、施工にわたって、更には導入後の保守・メンテナンスまで、ワンストップで対応しており、個別の条件に合わせた最適なシステムをご提案しています(図5)。
「自家消費型」と「余剰売電型」をご用意
スマートパワー㈱では、自家消費目的の産業用太陽光発電設備について、発電した電気を全て自家消費する「自家消費型」、更に自家消費した上で余った電気を売電する「余剰売電型」の2種類をご用意しています(図6)。
「自家消費型」は導入までの期間が「余剰売電型」と比べて短いというメリットがあります。ただし、発電量が消費電力量を上回ると、電気が設備へ逆流するため、発電量が常に消費電力量を下回るように制御しなければなりません。そのため、休憩時間や休日などは発電量を抑制する必要があります(図7)。
一方、「余剰売電型」では、発電量を抑制していた部分を売電できるため、発電設備の設置面積や電気使用量次第で経済メリットが出やすくなります。ただし、余剰電力を電力会社へ送電する際には、電力申請を行い、売電可能かどうかを確認する必要があります。エリアによっては、発電量を制限したり、接続までに時間がかかることがあります。
同社では、まずは30分ごとの電気使用量や年間使用量の推移といったデータを分析した上で、屋根面積などの設置条件や、気候条件などを踏まえ、「自家消費型」「余剰売電型」について最適なプランをご提案しています。
個別に最適化したプランをご提案
同社では昨年度、金属加工工場や木材加工工場、福祉施設など、様々なケースに産業用太陽光発電設備を導入しています(図8)。例えば、ケース1(自家消費型)の金属加工工場では、年間の電気使用量が約77万kWhである工場に対し、屋根の再塗装を実施した上で、パネル容量で226.8kW、システム容量で150kWの太陽光発電設備の設置を提案し、採用されました。シミュレーションによると、このケースの場合、発電量は約19.4万kWhとなり、年間で電気購入量を約20%、電気代では約240万円を削減するともに、二酸化炭素の排出量を約63.9t-CO2抑制できる換算です。ケース2(余剰売電型)の木材加工工場では、パネル容量で1,057.9kW、システム容量で900kWの太陽光電設備を設置し、電気購入量を約33%、売電と併せて約1,773万円の電気代の削減を見込んでいます。
これらのケースでは、「中小企業経営強化税制」などの申請サポート等も実施しています。
BCP向けに蓄電池の併設を推奨
太陽光発電設備は、停電時にはパワーコンディショナー等が止まるため、発電が停止してしまいます。これを防ぎ、災害時に電力を確保するためには、自立運転機能があるパワーコンディショナー、または蓄電池を併せて設置することが必要になります。蓄電池の導入は、自家消費する場合、日中の余剰電力を貯めて夜間に利用するといったことも可能になるほか、電気を貯めておくことで突然の停電時での業務ロスやデータ損失の予防、設備機器のバックアップなどに役立ちます。特に、蓄電容量が大きい電気自動車を使用したV2Hは、オフィスのBCP対策として有効であり、同社では太陽光発電設備と併せた導入を推奨しています。