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農林水産省 2019年木材統計を公表 素材供給量の国産材割合は83.1%に
農林水産省は4月30日、素材の生産、木材製品の生産出荷等に関する実態を明らかにし、林業行政の資料に活用することを目的とした木材統計調査について、2019年の年次調査となる基礎調査の結果を公表しました。今回は、同調査結果についてまとめました。
素材需給の動向
国産材供給割合が1.6ポイント上昇
2019年の素材需要量※1は2,634万8千㎥で、前年比0.7%の減少となりました(図1)。需要部門別にみると、製材用は1,663万7千㎥で全体の約6割を占め、前年比0.2%の減少となりました。合板等用は544万8千㎥で同3.0%増加し、木材チップ用は426万3千㎥で同7.0%の減少となりました。
素材供給量については、国産材が2,188万3千㎥で、同1.1%の増加となりました。一方、輸入材は446万5千㎥で、同9.0%減少しました。この結果、素材供給量に占める国産材の割合は83.1%となり、前年に比べ1.6ポイント上昇しました(図2)。
国産材供給量のうち、針葉樹は1,987万6千㎥で同2.1%の増加となりました。これを樹種別にみると、スギは1,273万6千㎥で同1.6%の増加、ヒノキは296万6千㎥で同7.0%の増加、エゾマツ・トドマツは118万8千㎥で同6.6%の増加となりました。カラマツは221万7千㎥で同1.6%、アカマツ・クロマツは60万1千㎥で同4.3%、それぞれ減少しました。また、広葉樹は200万7千㎥で、同7.9%減少しました。
製材の動向
人工乾燥材出荷量の割合が上昇
製材品出荷量は903万2千㎥となり、前年比1.8%の減少となりました。用途別では、8割強を占める建築用材は726万9千㎥で同2.7%減少し、土木建設用材は44万5千㎥と同18.4%増加しています。
また、人工乾燥材出荷量は418万7千㎥となり、同6.5%増加しました。製材品出荷量に占める人工乾燥材出荷量の割合は46.4%で、前年に比べ3.7ポイント上昇し、この5年間では12.9ポイントの上昇と伸長しています(図3)。
集成材・CLTの動向
ラミナの国産材比率4割に
集成材およびCLTを構成するラミナの消費量は270万6千㎥となりました※2。内訳は国産材が109万6千㎥、輸入材が161万㎥で、ラミナ消費量における国産材比率は約4割に上っています。用途別では、集成材向けが268万6千㎥で前年比0.2%減少し、CLT向けは2万㎥となりました※2。
集成材生産量は192万㎥で、前年比0.2%の減少となりました。このうち、構造用は183万㎥で、同1.2%の減少となりました。構造用集成材を断面別にみると、大断面が1万5千㎥で同44.4%の減少、中断面が81万9千㎥で同4.5%の増加、小断面が99万6千㎥で同4.3%の減少となっています(図4)。
CLT生産量は1万3千㎥で、構造用が1万1千㎥、その他が2千㎥となりました※2。
※1 素材需要量とは、製材工場、合単板工場および木材チップ工場への素材の入荷量のこと。なお、2017年以降の調査から、素材需要量のうち「合板用」を新たにLVL用を含めた「合板等用」に変更したため、素材供給量について、2016年以前の計と2017年以降の計とで数値を比較することができない。
2 調査対象であるCLT工場について、前回調査とで集計範囲が異なるため、ラミナ消費量の全体およびCLT向け、CLT生産量については、対前年の比較は行われていない。