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林野庁・(一社)全国木材組合連合会 JAS構造材利用拡大事業
(一社)全国木材組合連合会は、林野庁が推進する2020年度の「JAS構造材利用拡大事業」について、一次募集の受け付けを開始しました。この事業は、JAS構造材を利用する事業者および供給者を対象とした「活用拡大宣言事業」、物件の施工者がJAS構造材を低層の建築物で活用した実証的な取り組みに対し、調達費用の一部を支援する「個別実証支援事業」の二つの事業から構成されています。
4階建て以上の一戸建住宅も対象に
「JAS構造材利用拡大事業」は建築物の指定された構造部分にJAS構造材を利用し、設計、調達、施工時におけるJAS構造材の利用に関する課題の抽出や改善策の提案を行うことで、使用したJAS構造材等の調達費用の一部について林野庁が支援するもので、(一社)全国木材組合連合会(以下、全木連)が窓口となっています。
昨年度からの大きな変更点として、今年度は、民間だけでなく地方公共団体など、国以外が施主となって建築するもので、低層の一戸建住宅を除くすべての建築物にまで対象が拡大されました。更に、助成対象となるJAS構造材についても、これまでの「機械等級区分構造用製材(以下、機械等級製材)」「枠組壁工法構造用製材および枠組壁工法構造用たて継ぎ材(2×4製材)」「CLT」に加えて、新たに「構造用集成材(中断面以上)」「構造用単板積層板(LVL)」が追加されました。
JAS構造材の利用に積極的な企業を公表
本事業は、「JAS構造材活用拡大宣言事業」と「JAS構造材個別実証支援事業」からなります。「JAS構造材活用拡大宣言事業」は、JAS構造材の活用拡大を宣言した事業者を登録・公表することで、JAS構造材の活用に積極的な企業の「見える化」を図る制度です。登録には、「JAS構造材活用拡大宣言登録申請書」などを、2021年3月27日までに全木連に対して提出する必要があります。登録後は全木連のホームページ上で公表されるほか、提出した「JAS構造材活用拡大宣言」について、自社のホームページへの掲載、または事務所にて掲示することが必要です。
最大3,000万円を支援
「JAS構造材個別実証支援事業」は、事前に上記登録をした事業者が、JAS構造材を構造部分に活用して実証的に建築物の施工を行う場合に、JAS構造材と、JAS構造材の使用量に応じたJAS構造材以外の林産物JASについて、材料費やプレカット加工費、運搬費といった調達費の一部を林野庁が支援するものです。なお、3件以上の申請には、クリーンウッド法に基づく登録木材関連事業者であることに加えて、工場全体の原木買い取り量(もしくは原材料の買い取り量)を前年(度)実績と同等、もしくは増加させることを目的に、山元の素材生産事業者等と安定供給などの協定を締結したJAS構造材生産施設を有する宣言事業者と、共同申請をすることが条件となります。
建築物を助成の対象とするためには、指定された構造部位にJAS構造材を使用することが条件となります。「機械等級製材」であれば、構造部の柱、梁桁、トラス、土台のいずれかに使用することが必須となります。なお、一部に「機械等級製材」が使用されていれば、乾燥処理が施された「目視等級区分構造用製材(以下、目視等級製材)」についても助成の対象となります。「機械等級製材」と「目視等級製材」を合わせた材積と、これらの合計材積の50%を上限とするその他の林産物JASの材積を合わせたものについて支援がなされます。
助成金額は、通常では1件当たり1,500万円が上限となりますが、床面積の合計が1,000㎡以上、または助成対象となる階が4階以上ある建築物については3,000万円にまで拡大されます。計算方法は、JAS構造材については、①事業申請時に計画している材積に所定の立米単価を乗じた額、②交付申請時に実際に使用した材積に所定の立米単価を乗じた額、③実際の調達費のいずれか、その他の林産物JASについては、④計画調達費の2分の1、⑤実際調達費の2分の1のいずれかとなります。このうち、①と④、②と⑤、③と⑤を合わせた額の中で最も低い額が助成されます(図1)。
なお、本事業においてはJAS構造材が使用されている階が建築物の階数として算出されており、CLT以外のJAS構造材の立米単価については、最上階から数えて1~3階が5万円、4階以上が10万円となります(図2)。CLTのみ一律14万円となります。
申請締め切りは6月30日
本事業の申請に当たっては、対象物件が所在する都道府県にある県木連等の地域木材団体に対して、「JAS構造材個別実証支援事業申請書(様式1号)」を6月30日までに提出する必要があります。その後、県木連等により事業申請受付証(様式2号)、審査結果通知書(様式3号)が事業者に通知され、事業開始となります。ただし、様式3号に記載された日付以前に調達されたものについては、助成対象外となります。
その後、助成対象となる木材の建て方が終了した日から1カ月以内、もしくは8月31日のいずれか早い期日までに、助成金交付申請書(様式6号)等を県木連等に提出します。この時に、「JAS構造材」の使用に関する情報をまとめた報告書や、交付金額の査定に必要となる資料、記録写真等を提出する必要があります。全木連はこれらを審査した上で交付決定通知書(様式7号)を通知し、事業者が全木連に対して助成金交付請求書(様式8号)を提出することで、林野庁より助成金が交付されます。